近況報告③


我家の庭の片隅には火鉢が置かれ、そこには睡蓮が植えられている。植えられた直後は、梅雨の季節が来るとたくさん花が咲いてくれたが、年と共にあまり咲かなくなり、咲いても2~3個、特にここ3年ほどは全く咲かなくなり、もうこの睡蓮は終ってしまったのかなと思っていた。
ところが今年なぜか1個だけ久しぶりに形の良い美しい花が咲いて、驚かせてくれた。
実はこの睡蓮を植えてくれたのは、昨年11月に亡くなった、陶芸家の足立博昭君である。(このホームページでも彼の作品を紹介させてもらっている。)
もう35年以上も前になるだろうか、我家に遊びに来てくれた彼が、庭の片隅に放置されているようになっていた火鉢を見つけ、「ここに睡蓮を植えたら、庭も美しくなるし、この火鉢も生きるよ」と言い出した。
そして、わざわざ睡蓮と土を買ってきて水を張り、色々工夫しながら植えてくれたものなのだ。
彼が亡くなって約半年。ここ数年姿を見せる事のなかった水連の花が、彼が植えてくれた睡蓮の花が、それもただ1個だけ、美しい姿を見せてくれたのだ。
まるで彼がやって来たように。
足立君、睡蓮が咲いたよ!
ありがとう‥‥。

2021年6月28日
岡林信康